ニッチユーザーの不定期日記

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電子から原音への回帰(サガシリーズのオフィシャルオーケストラコンサート、「サガオケ!」を観覧)

11月23日の祝日。渋谷にあるオーチャードホールで行われた、「サガオケ!」を観覧。

 

1989年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたゲームボーイソフト「魔界塔士Saga」に始まり、スーパーファミコンで発売された「ロマンシング・サガ」シリーズ、プレイステーションで発売された「サガ・フロンティアシリーズ」、プレイステーション2で発売された「アンリミテッド・サガ」など、様々な展開をしているロールプレイングゲーム。通称、「サガシリーズ」。

そのゲーム中で使われているBGMをオーケストラアレンジしたCD、「サガオケ!」が発売され、さらにファンが待望したフルオーケストラによるコンサートが開催された。

 

ゲーム作品としても、それまでのRPGになかった独自の世界観、システムが導入され、特に「ロマンシング・サガ」シリーズから導入された「フリーシナリオシステム」は出色である。

プレイヤーはゲーム中、普通のRPGのようにイベントをこなして進めるのではなく、イベントに対して否定的な立場をとってみたり、無視したり、といった選択も可能で、その結果によって、後の展開が変わってくるシステムになっている。このため、一度ではなく、二度三度と遊ぶという楽しみができる。このシステムが「サガシリーズ」の代名詞となり、スクウェア・エニックスの代表作「ファイナルファンタジーシリーズ」や、「ドラゴンクエストシリーズ」とはまた違った路線で、根強いファンに支持されることとなった。

 

そして、このシリーズのもう一つの特徴がBGMである。初期こそ「ファイナルファンタジーシリーズ」でもBGMを担当した植松伸夫氏がメインとなっているが、この「サガシリーズ」で一躍、有名となったのが伊藤賢治氏である。

世界観にマッチした情緒の感じられる楽曲から、エレキやドラムといったロック調の楽器とファンタジーの世界観を融合させた派手な楽曲、テクノやプログレの要素を含んだ楽曲と、幅広くバラエティーに富んでいて、プレイヤーを飽きさせない。

特に、本人は苦手だと言っているが、戦闘シーンで流れるBGMは、「イトケン節」とも言われ、ファンからの評価が非常に高い。

 

プレイステーション2以降は、フルオーケストラによるBGMの作成も手掛けており、既に楽曲全般をオーケストラアレンジにする下地はあったということだろう。

 

コンサートは2部制になっており、1部は主にゲームボーイから、スーパーファミコンまでの作品からチョイスされた楽曲が中心となっており、2部はプレイステーションから、PSVitaで発売される最新作「サガ・スカーレットグレイス」の楽曲が披露されることとなった。

 

第一部

・魔界吟遊詩-サガシリーズメドレー2016

各ゲームのメインタイトルや、人気の楽曲を取り混ぜたメドレー。序盤から、一気にテンションが上がるメドレーである。

 

・世界への帰還-エピローグ from 魔界塔士Saga

・父の背中を追って-バトルメドレー from サガ2 秘宝伝説

・時空の旅人-フィールドメドレー from 時空の覇者サガ3

ゲームボーイで発売されたタイトルの歴史を感じられるメドレー。原曲はわずか3和音で作られていた楽曲。オーケストラアレンジによる進化に感動する。

 

・試される決意-最終試練 from ロマンシングサガミンストレルソング

・皇帝出陣 from ロマンシングサガ2

主人公たちが挑む、神々が作った壮大な道を行く最終試練と、皇帝出陣の荘厳さと勇ましさが感じられる楽曲。どちらも、荘厳、壮大といったスケールを感じさせる楽曲である。

 

・最強の栄光-バトル2~七英雄バトル~四魔貴族バトルメドレー from ロマンシングサガ1~3

いわゆる中ボスでかかる楽曲のメドレー、まさにイトケン節炸裂の名曲ぞろい。

 

・戻れない道程-ラストダンジョンメドレー from ロマンシングサガ1~3

各作品の、最後のダンジョンで流れる楽曲。この後に待ち受ける大きな戦いのイントロとして、静かで、不気味な感じが伝わってくる。

 

・最終決戦!-ラストバトルメドレー from ロマンシングサガ1~3

最後のボスの戦闘中のBGM。クライマックスを感じさせるスケールと、力強さにテンションがMAXに。一部の締めとして、最高に盛り上がるメドレーである。

 

休憩中、撮影OKの特別展示も拝観。ロマンシングサガシリーズより、キャラクターデザインを担当している小林智美氏のイメージボード3点。

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宝塚を思わせるような、耽美的絵柄と水彩画のような美しさで、このデザインもサガシリーズの売りと言っていいだろう。

 第二部

 ・戦闘領域-バトルメドレー from サガフロンティア

プレイステーションで発売された同作は、データ容量が増えたことにより、生オケではないものの、格段に楽曲のクオリティが上がった。登場する主人公ごとにボスの楽曲が設定されており、サガフロンティアは特にバトル曲が多い。その分、聞きごたえ十分である。

 

・妖魔の夢-アセルスメドレー from サガフロンティア

個人的に一番聞きたかったメドレー。サガフロンティアでプレイヤーが選択できる主人公の一人、アセルス。シナリオや、楽曲などオペラ歌劇のような演出があったりして、オーケストラサウンドとの相性も抜群。アセルスシナリオのラスボス、オルロワージュとの対決で流れるBGMはぜひとも生オケで聞きたかったので、非常に満足。

 

・時代の幕開け-オープニングメドレー from サガフロンティア2

・戦いの日々-ノーマルバトルメドレー from サガフロンティア2

これまでメイン楽曲を担当していた伊藤賢治氏に代わり、浜渦正志氏の楽曲。叙事詩的で暖かみのある音楽から、テクノ系の音楽まで、こちらも幅が広い楽曲製作に定評がある。また、楽曲アレンジも素晴らしく、同作で一つの曲を場面に合わせて、様々なアレンジを行うなど、その腕は一級である。オーケストラアレンジにより、物語性の強い楽曲となっている。

 

・限界の向こうに-アンリミテッド:サガメドレー

コンサートがあった11/23時点では、最後に発売されたサガシリーズ。こちらも浜渦氏による楽曲である。ゲーム自体は、かなり尖ったシステムとなっており、それまでと比べても評価の分かれる作品という印象だったが、音楽に関しては評価は高かった。今回のオーケストラアレンジはメドレーが一曲だけとなったが、こちらも色々アレンジをして欲しいタイトルである。

 

・緋色の邪星- from サガ・スカーレットグレイス

12月に発売となる待望の新作の曲を一足早く聞くことができた。こちらは再び、伊藤賢治氏が全面プロデュースとなったタイトルである。ハードの進化により、フルオーケストラの楽曲が、そのままゲームに乗るようになってきた。普通のクラシックオーケストラコンサートを聞いているような、壮大で歴史を感じさせるような一曲となっている。

 

・胸に刻んで- from サガ・スカーレットグレイス

こちらは、どうやらエンディングの方で流れる楽曲ということで、ミュージカルやオペラのワンシーンで流れそうなボーカルが入った楽曲。歌うのはソプラノ歌手の野々村彩乃氏。伸び伸びとした歌声と、体全身を震わせるような高音域の透き通る歌声。果たして、ゲームではどのような演出で流れるのか、楽しみである。

 

・これがいきもののサガか-サガバトルメドレー

最後の一曲は、サガシリーズの代名詞である様々なバトル曲を、10分以上の長時間で演奏するバトルメドレー。個人的にはロマンシングサガ1をリメイクした「ロマンシングサガミンストレルソング~」で作られた楽曲、「死への招待状」がフルオーケストラで聞けたのが良かった。この曲もオペラのような曲調で曲の途中で入る女性ボーカルのハミングを野々村氏が歌って非常に完成度が高い仕上がりだった。

 

アンコール

・オープニングタイトル from ロマンシングサガ2

アンコールでは、ファンの中でも人気の高いロマンシングサガ2のオープニングを、エンディングのような静かなアレンジにした楽曲で締めとなった。

 

わずか2時間のコンサートだったが、非常に充実した内容の濃いコンサートだった。生オケで聞いてみて思ったのは、CDと比べても低音の管楽器、弦楽器、打楽器の音がはっきり聞こえてきて、音楽全体の底上げしているようで、繊細かつ重厚な音を楽しめたこと。今回限りではもったいないので、今後も生オケコンサートはやって欲しいと思っている。

 

気になる情報としては、どうやらサガシリーズが舞台化されるということらしい。まだ、どの作品をやるか、というところまでは発表できないとのことだが、やることは間違いないとのことで、ちょっとこれも観てみたいなと思った。

 

そして、2017年3月には、「サガシリーズ」と並び、根強い人気がある「聖剣伝説シリーズ」の25周年記念コンサートも開催されるとのことで、こちらも楽しみである。