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ニッチユーザーの不定期日記

アニメ、マンガ、ゲーム等、オタクな話題を不定期更新

あると思っていた日常が失われた日(こち亀の最終回によせて)

こちら葛飾区亀有公園前派出所」、通称「こち亀」がついに最終回を迎えた。

40年の週刊連載で、一度も休載なしという記録はきっと今後も塗り替えられることはないだろう。

 

こち亀の掲載誌である「週刊少年ジャンプ」を読むようになったのは、小学3、4年生のころ。それまでは、コロコロコミックのような、児童向けの月刊誌を読んでいて、週刊少年誌については存在を知っている程度であった。

 

興味はあったのだが、なんせ月の小遣いが少ない小学生のころ、週刊誌を買い続けるのは経済的に不可能だったため、興味があっても触れる機会はなかったのである。

ところが、友人の一人が、定期的に近所のゴミ捨て場にジャンプが置かれていることに気づき、こっそり持って来て回し読みをするようになり、ついに自分も「ジャンプ」の世界を体験することとなる。

 

当時のジャンプは、「ドラゴンボール」、「幽遊白書」や「SLAMDUNK」といった今も語り継がれる伝説級漫画から、「ドラゴンクエスト」を下地にした「ダイの大冒険」、ホラーやミステリーの要素を取り込んだ冒険活劇「ジョジョの奇妙な冒険」、今のジャンプにはなくなってしまったバリバリの不良漫画「ろくでなしBLUES」、小学生には刺激が強かった「まじかるタルルートくん」や「電影少女」、その他もろもろ、読まないところはないほど、所狭しと名作がひしめきあっていた。

 

その中で、ポツンとある、何だかわからないけど、タイトルが長いお巡りさんが出てくる漫画、「こち亀」との出会いである。

しかし、ジャンプを回し読みしていた当時、しばらくスルーをしていた。理由は単に興味が沸かなかったのである。

ある時、たまたま、いつものゴミ捨て場にジャンプがなく、その週は読むことができない。でも、続きが気になる漫画はいっぱいある。

迷った挙句、ついに自分の小遣いをはたいて、ジャンプを買うことにした。

自分で買ったからには、ちゃんと読もう、といつも読まない「こち亀」にも目を通すことになる。

図ったかのように、「こち亀700回記念」、両津の昔話エピソードの一つ「勝鬨橋ひらけ」の回であった。

 

めちゃくちゃいい話で感動し、なんで今までこんないい漫画を読まなかったのかと後悔。今度は1ヵ月に1巻分を購入するようになる。

そんな時、これまた偶然のように、近所に住む年の離れた先輩が、部屋を片付けるついでに漫画を処分するということで、欲しいものがあったら持って行って構わないと言われ、お邪魔すると、なんとそこには1~50巻ぐらいまでの「こち亀」、ところどころ抜けてはいたが、嬉々として持ち帰り、読みふけっていた。

 

余談だが、とにかく文字情報が多く、1巻を読む平均時間は、他のそれを余裕で上回っていく。以前にも書いたが、自分が当時、他の子どもと比べても漢字の読みに強かったのは、この圧倒的な文字情報を何度も繰り返し読んでいた経験があったと思われる。

 

 中学生になり、お小遣いも少し増えて、いよいよ新刊を買いつつも、まだ揃っていない過去作を一通り揃えることになる。これだけ長いシリーズの単行本を1巻から揃えたのは初めての作品であった。

 

高校生になり、アニメ、ゲーム、漫画にどっぷりな時期、お小遣いも増え、買い漁った本で部屋が手狭になり、100巻を超えていた「こち亀」の処遇に困り始める。ジャンプは定期的に読んでいたため、「こち亀」もコミックスを買う前に内容はすべて知っている状況で、集めているという前提のためとりあえず買っていた時期。気づけば、買っている「こち亀」の単行本をほとんど読まなくなっていた。

 

大学になり、いよいよ漫画の量で部屋のキャパが限界。決心を固め、大量の漫画処分を決行。「こち亀」もその対象となった。繰り返し読まなくなったこともあったが、当時、漫画喫茶が台頭し、巻数の多い漫画は読みたくなった時に漫画喫茶に行けばいい、という思考になっていた事もあった。

 

大学時代の半ばごろから、ジャンプ本誌の「こち亀」もあまり読まなくなった。つまらなくなったという訳ではなく、「こち亀」がジャンプに載っているのは当たり前で、一話完結でいつでも読める安心感から、気が向いたら読むというスタンスに変わっていた。

 

大学卒業後、ジャンプ、マガジン、サンデーの三大誌も目を通していたものの、かつての黄金時代のように端から端まで読むようなことはなく、気になっている作品をいくつかチェックする程度。自分が読みたい漫画は青年誌や角川のメディアミックス系漫画誌の方にシフトしていて、気づけば「こち亀」は読まなくなっていた。

 

近年は、ジャンプ系のコミックスも買うことはなくなった。

本屋で立ち寄るのは青年誌や角川系漫画誌、新興漫画雑誌の棚ばかりとなり、少年誌の棚にある「こち亀」を頑張ってるなぁと横目にみているだけであった。

 

いつまでも終わることがない、と錯覚していた「こち亀」。それが、ここに来て最終回を迎え、妙な喪失感を味わっている。

考えてみると、「こち亀」は載っている事が日常であり、空気のような存在になっていたのかもしれない。例えるなら、当たり前のようにいる近所の友人だったり、家族だったり、いるのが当たり前のものがなくなってしまったような感覚だ。

 

最終回の発表の際、「こういう時だけ、『最近読んでないけど好きだった』とか『もっと続いて欲しかった』とか言いやがって!」と両さんがキレるというネタがあったが、耳が痛いところではあるが。

 

しかし、一区切りをしたところでスパッと終わらせるという決断をした秋本先生の潔さだったり、両さんのキャラクターとしての美学を感じさせられて素直に感動している自分もいる。

最終回を迎えたが、その終わりは完結というよりは、両さんたちの日常は続いていくことを匂わせてくれるもので、きっといつかまた会えると思わせてくれる内容だったのも嬉しかった。

 

また、近々で新作の連載が開始されるのも楽しみだ。「ミスタークリス」の連載再開も嬉しいが、「こち亀」の下町イズムを継承してくれそうな銭湯漫画「いいゆだね」に期待したい。

個人的希望は、「こち亀」とも絡みがあった漫画で、下町の工務店の娘、立花静が主役の「東京深川三代目」の新作を作って欲しいところ。